コラム

 公開日: 2012-11-08  最終更新日: 2014-07-03

屋根について思うこと

住宅の屋根について思うこと

アーキクラフトが設計させていただく住宅の屋根の基本は三角の切妻屋根になります。
法規制などにより寄せ棟になることもありますが、屋根材に適した屋根勾配、40%から60%を確保した形態になります。
最近住宅雑詩や広告で陸屋根(ほぼ水平な屋根)の家が最近よく登場します。
実際に建っている家もよく見るようになりました。
都会的イメージ・ビル的イメージでハイセンスに,と言うことのようです。以前は陸屋根というとRC造の建物の屋根の定番で(学校とか)アスファルト防水で仕上げるものでした。

日本の木造住宅に限り陸屋根が主流になったことはありません。日本のというか雨が降る国で屋根が平に近いというのはまずありえないのです。世界的に見ても平らな屋根の住宅というと、アフリカの乾燥地帯に日干し煉瓦で造られた住まいがある程度なのではないかと思います。



木造はRC造のように全体が一つの塊となった剛構造ではなく、柔らかく動く柔構造と言えます。
地震はもちろんのこと風や温湿度の変化でも微妙に動いているものです。その動いていている建物の屋根には動きに追従できる屋根工法(防水工法)が必要なのです。
短期間持てばよいのではなく永いあいだ追従性能を持たせないといけません。
陸屋根の屋根材を見るとFRP防水や、ステンレス防水が主流のようです。確かに防水はできます。
FRPやステンレスはその材料自体の寿命も耐久性もあります。特にステンレスの耐久性は鋼板の中でも最高度です。
屋根勾配が小さいということは水の流れもゆっくりになります。
ゲリラ豪雨などではドレンに吐き切れずプール状態になる可能性もあります。
ドレンが詰まることもあるでしょう。
そのように考えてくるとスタイルを優先するあまり生活リスクをしょってしまっているように思います。もちろんそのことを理解していれば個人の自由、周りが心配することではありません。



また、陸屋根の特徴として、小屋裏空間が極端に小さく空間容量がありません。これは木造に限ることではなく、RCでもS造でも同じです。
小屋裏空間が小さいということは空気というすぐれた断熱材が少ないということですから、居室への熱の影響が大きくなります。
快適に過ごすためには特別な暑さ対策が必要になります。

もうひとつ陸屋根が勧められない理由があります。
天井上に入った水蒸気を上手に逃がす工夫をしていないと、暖かい部屋から天井上に入った暖かい空気は急激に冷やされ屋根材に触れることにより、飽和点に達しすぐに結露します。確実に気密された天井で天井上には一切室内の空気は入れない施工が出来ればいいでしょうが、果たして可能でしょうか、木造は動いています。
ある程度天井上にも空気は逃げる、でも心配はいらない。という形態と工法を用いるのが永く住まう住宅のつくり方だと考えます。



伝統に倣う意味は大きいのです。
外観デザインにおいても地域に根ざし、その地にはどんな屋根形状がいいのか考えることは必要なことです。
日本全国で造られる標準仕様の家がこの地で相応しいわけではないのですから。

伝統に倣いながら昔からの材料を今の技術で使い、スタイルもよく耐久性も可変性もある住まいをがんばって考えています。
アーキクラフト 福田義房

埼玉でシンプルで住みやすい木の家を提案しています。
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