コラム

 公開日: 2016-10-11 

NHKスペシャル「あなたの家が危ない~熊本地震からの警告~」を見て①マンション編。

10月9日(日)のNHKテレビはとても衝撃でした。
ご覧になった方も多いと思いますが、
半年前の熊本地震の被害住宅の中に「全壊」認定された新・耐震基準のマンションがあったからです。

熊本地震は、震度7の激震が続けて2度も起きました。
気象庁の専門家も驚く初のケースでした。
はじめが余震で本震が後に来たというものその後に分かった事実です。
そのためもあったのでしょうが、想定外の被害がいくつも発生したということでした。

最初の地震(前震)では倒壊しないものの、2度目の地震で崩れ去った一戸建てがあったということや、
耐震基準を満たしているはずの新しい一戸建てさえ倒壊したという内容は、
ニュースなどでで知っていましたが、マンションでも「全壊」認定が1軒あったというのは知りませんでした。

半年前のニュースで、熊本市の応急危険度判定で
「危険」を示す赤い紙が貼られたマンションの映像を見ました。
また、倒壊は免れたものの建物を支える柱やはりの一部が壊れてしまい、
鉄筋がむき出しになった映像も流れていました。
住民のほとんどの方が避難を余儀なくされているという現実。
住人への取材では、
「避難しているのは水道の配管が壊れたうえにエレベーターも故障して生活できない状況だから」
だったと思うのですが、これでは明らかに住むことができない状況です。

日本建築学会による基準は5段階で評価されています。
「崩壊」、「大破」、「中破」、「小破」、「軽微」の5つです。
今までの報告では、「崩壊」という一番厳しい状態、
「柱・耐力壁が破損し、建物全体または建物の一部が崩壊に至った」
という被害報告はないとのことでした。
しかも、新旧の耐震基準で区分していないので、
「大破」とされた1棟も「中破」の5棟も、
私は勝手に旧・耐震基準による古いマンションなのだろうと思っていました。
それだけに、この番組は驚愕の内容でした。

番組の映像は、コンクリートに穴が開き、壁の向こう(隣家)が見えてしまうものもありました。
むき出しになった鉄筋と鉄筋の間隔をメジャーで測る専門家の姿も映し出されていました。
専門家(大学の教授)の説明によれば、
新耐震基準であっても、耐震性は地域によって違うのだというのです。
恥ずかしながら、この点も私は知らなかった部分です。
「地域係数」という考え方があって、
基準の耐震性に地域ごと0.9とか08といった数値をかけているのです。
つまり、耐震基準の0.9倍とか0.8倍の弱い建物が合法的に多数建設されているということでした。
地域係数は昭和27年に市町村ごとに定められたもので、
地震の起きやすい地域は1.0、地震が少ない地域は0.9といったようになっていたのです。

もっと簡単に言えば鉄筋の本数が少ないとか、壁厚(コンクリート厚さ)が薄い物でも構わないのです。
最近特に心配されている南海トラフ地震のエリアはみな0.9倍とか0.8倍の弱い建物が合法的に可能です。

熊本も0.9以下の地域だったのです。
長く大地震がないとされて来た地域で起きた想定外の大地震だったがゆえに、
しかも震度7の本震が2度も立て続けにきたがゆえに表に出た内容です。


次に番組で衝撃だったのは、
免震構造の建物を基礎部分で支えていた免震ゴムが破壊されて、
機能を発揮できない状態になっていた映像でした。
揺れについづいしこの免振ゴムが吸収するというのですが、
なぜ免震ゴム部分が壊れてしまったのかというと、要するに想定外の揺れ幅だったからです。

地震に強い優れた構造として1995年の阪神淡路大震災以降に取り入れられた「免震構造」
ですが、東京のタワーマンションでも免震構造が増えているだけに、
テレビを見て不安に襲われた人も多かったに違いありません。

想定外の巨大地震が起きるたびに建築基準等を改定して来た日本ですが、
熊本地震のようなさらなる想定外が起きてしまうと、
これからの世の中は何が起きても不思議ではないと思わざるを得ません。

建築に携わるものとして、日々変わりゆく法律と施行、
安心できるものが少ない、いたちごっこにいら立ちも覚えます。

さて、首都圏は巨大地震はいつ起こっても不思議ではないと言われています。
マンションを購入する、もしくはマンションに現在住んでいる人が、
覚悟しなければならないことはたくさんあります。
代表的なものは、
①日中に襲われたら、交通網が遮断されて、
 何日も家に帰ることができなくなるかもしれない。
②建物の崩壊は免れても、揺れによって家具・冷蔵庫などが凶器と化して人を襲う。
 家にいるペットや高齢者の身の安全が確認できない。
③エレベーターが停止し、移動が困難になる。 
  又は閉じ込められてしまう。
④水道が使えない・電気が来ないために生活ができない。
  又は、水道水の運び込みに大きな負担がかかる。
⑤壁に亀裂(ひび割れ)が発生して、余震とともに恐怖感が募る
などなどです。

こうした問題への対策は多くの人々が既に考えていることだと思います。
多くのマンションで防災訓練を実施したり、
いざというときの防災備品を備蓄したりするという例もあります。

新築の大型マンションでは、例外なく非常用発電機の設置や生活用水の確保など、
個人ではできない備えを実施するようになってきています。

また、家族同士が連絡を取り合える「緊急時の連絡手段」を電話会社と行政がおこなったり、
帰宅難民対策として3日は帰宅しないなどの一時避難施設の確保を行政と民間企業が行うなど、
取り組みも大掛かりに組まれています。

個人や家族では家具の転倒防止策を施すことや備蓄など、
一時避難場所の確認なども取りくまれていることと思います。

旧耐震基準で建てられたマンションが多い東京では、
耐震診断を実施し、必要なものは耐震補強工事をしなければならないと知りつつも、
耐震診断すらしていないマンションが60%もあるそうです。

余談ですが、最近お客様の案内のために都内を走ることが多く、
古いビル、マンションでは、ところどころ亀裂した壁を補修した箇所をみかけたり、
手が入っていないものも見受けられます。
ひび・亀裂は放置すれば、耐震性・耐久性の劣化につながるので見過ごすことはできません。
また、タイルが剥離した中古マンションやビルもあり今後の課題が大きいと思います。

ご案内のお客様には、基本中古マンションよりも、
新築一戸建てか築浅一戸建てをお勧めしています。
しかし、このテレビ番組では新たな恐怖も映し出されていました。
その内容はさらに驚愕的なものでした。
そちらはまた書かせていただきます。


   

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