コラム

2016-01-31

五岳山道(ごがくさんどう)の美しさ。

先日、陶芸の池田師匠から伺った素敵な言葉です。
私が作陶中、茶碗の縁を無造作に作る成りにしておいたときに言われました。
個人的に綺麗な作りよりも、稚拙であるがままの方が好きなのでこういう形にすることが多いのですが、
池田師匠は、口にするところはもう少しやわらかに優しいものの方がいいよと。
そして、茶の湯の言葉 「五岳山道」を教えてくださいました。

「五岳」  山々が連なる景色。
「山道」  その山々に登るいくつもの道。
山登りをする人にとっての楽しみは、
どの山に登るか、どの道で登るかを考えることから始まるそうですね。
「五岳」も「山道」も単語ですが、2つ併せても使われるようで、
それは楽焼の抹茶茶碗に由来し、お茶の言葉でもあるそうです。

楽焼は、日本で生まれ、世界に類のない日本独特の「やきもの」です。
今から三百数十年前、千利休の指導により、帰化人で瓦職人であった阿米也が、
今日に伝わる楽焼の技法をつくりだしたといわれています。

秀吉によって起こされた朝鮮戦争で、終戦とともに引き上げてきた諸大名、
特に九州、中国地方の大名は、朝鮮の陶工をつれて帰国しました。
これらの陶工に命じて領地に窯を作らせ競って製陶をさせたそうです。

楽焼は、一個一個、掌と、指頭と竹へら、金属へら等によって作られるものです。
一度に大量に焼くことができず、少しずつ窯に入れて焼き上げるものです。
そのために、名人と言われる方でも一つとして同じ物は焼けないのです。
ひとつひとつの茶碗に、それぞれ個性なり特色なり、違った持ち味が出てきます。
ここで初めて楽焼の面白さと楽しさと、むずかしさが感じられるのです。

言葉にする と「わび」 「さび」 「渋味」 などに置き換えられます。  
さらに無作為な中に、ふくよかな温かさや丸みをおびた和やかな安らぎもあります。

それ以前の中国や高麗(朝鮮)から伝来の茶碗などは端正で美しく繊細なものが多いです。
これが日本国内に持ち込まれ、これらの焼物の持ち味・よさと言うものが、
日本の茶人によって改善と工夫を加え、
あくまで茶を点てるか、茶を喫するかの目的だけで生まれた焼物が、
日本の楽焼(焼き物)の原点なのです。
 
樂茶碗は、形の上では、両手に受ける頃合の大きさ、適度の量感をもたせることが大切です。
簡単には男茶碗とか女茶碗などという言葉で大きさや肉付きを表現することもあります。
肉付きが形の大きさに対して、薄過ぎると浮ついた貧弱なものになります。
肉付きが厚過ぎると見た目にもヤボったい感じになります。
微妙なのですが、ここが茶碗の命です。

そして肉付きと同じく大切な口縁に 「五岳」とか「山道」 という高低差がみられます。
これは茶碗の縁へ茶杓、茶筅をのせかける際の転落を防ぐことと、
縁が単調にならないための美意識を兼ねたデザインとも言えます。
このデザインが行き過ぎたり、始末がおろそかであっては、
口当たりが悪く美味しいお茶もいただくことはできません。

考えれば、「五岳」も「山道」も、
建築や、ほかのたくさんの有様にも言い換えられる素敵な言葉だと思いました。

ちなみに、浦和から小川町まで片道2時間半通う日々です。
平坦な街から山並が見える、美しく変化する道々でもあります。


 

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